2026年5月、大阪で開催された第99回日本産業衛生学会に参加してまいりました。
今回の学会では、
・ストレスチェック制度
・化学物質管理
・熱中症対策
・健康経営
・産業保健DX
・メンタルヘルス一次予防
・小規模事業場支援
など、現在の産業保健を取り巻く多くのテーマについて学ぶことができました。
講演だけでなく、企業展示やポスター発表も非常に充実しており、「制度を知る」だけではなく、「現場でどう実践するか」を改めて考える良い機会となりました。
今回は、産業医・労働衛生コンサルタントとして実際に参加して感じたことを、現場実務の視点からまとめます。
50人未満事業場へのストレスチェック義務化
今回の学会でも大きな話題となっていたのが、50人未満事業場へのストレスチェック義務化です。
これまでストレスチェック制度は、常時50人以上の労働者を使用する事業場で義務、50人未満では努力義務とされてきました。
しかし、50人未満事業場にも義務化が決定されており、小規模事業場におけるメンタルヘルス対策の重要性がさらに高まっています。
学会でも、
・高ストレス者対応
・集団分析
・管理職教育
・一次予防
・職場改善
など、「実施するだけではないストレスチェック活用」が数多く議論されていました。
特に印象的だったのは、
「ストレスチェック結果をどのように職場改善につなげるか」
という視点です。
単なる制度対応ではなく、
・管理職へのフィードバック
・グループディスカッション
・継続的な職場改善
・保健師や産業医によるフォロー
などを組み合わせながら運用している事例が紹介されていました。
ストレスチェックを「実施して終わり」にしないことの重要性を改めて感じました。
職場巡視は「現場を見る」ことが重要
今回の学会では、化学物質管理や職場巡視に関する講演も非常に印象的でした。
特に感じたのは、職場巡視は「現場で何が起きているか」を確認する非常に重要な機会であるということです。
実際の現場では、
・保護具が適切に使用されているか
・作業手順と実際の運用に差がないか
・暑熱環境への対策が十分か
・現場独自ルールが存在していないか
・忙しさを理由に安全対策が省略されていないか
など、現場へ行かなければ分からないことが非常に多くあります。
製造業では特に、
・化学物質管理
・保護具
・リスクアセスメント
・熱中症対策
・作業環境改善
など、実際の運用が重要です。
書類だけで判断するのではなく、「現場で安全に働き続けられるか」という視点を持つ重要性を改めて感じました。
化学物質管理は「実務」の時代へ
今回の学会では、化学物質管理関連の講演・展示が非常に充実していました。
現在は、従来の「法令を守るだけ」の管理から、
「事業場ごとにリスクを評価し、自律的に管理する」
方向へ大きく変化しています。
企業展示では、
・呼吸用保護具
・フィットテスト
・個人ばく露測定
・測定機器
・換気設備
・熱中症対策機器
など、実務に直結する内容が数多く紹介されていました。
実際の現場では、
・保護具を継続して正しく着用する難しさ
・安全と生産性のバランス
・中小企業での運用
など、理論だけでは解決できない課題も多くあります。
産業医としても、労働衛生コンサルタントとしても、「現場で実際に回る仕組み」を考える必要性を改めて感じました。
熱中症対策は今後さらに重要になる
企業展示では、熱中症対策関連の機器やシステムも多く見られました。
近年の猛暑を考えると、熱中症対策は一時的な注意喚起では不十分です。
実際の現場では、
・WBGT測定
・水分・塩分補給
・休憩環境整備
・作業時間調整
・管理者教育
などを、現場で継続できる形にする必要があります。
特に製造業や高温作業場では、「現場で本当に運用できるか」が非常に重要です。
衛生委員会や職場巡視を通じて、実効性のある対策につなげていく必要性を改めて感じました。
健康経営・DX化と「行動変容」
ポスター発表では、
・血圧測定習慣
・持続血糖測定器
・健康アプリ
・運動スペース活用
・データ可視化
など、健康経営や産業保健DXに関する内容も数多く見られました。
特に印象的だったのは、
「どうすれば従業員の行動変容につながるか」
という視点です。
健康診断結果を返却するだけでは、なかなか行動は変わりません。
一方で、
・データを見える化する
・継続的に測定する
・習慣化を支援する
・小さな成功体験を積み重ねる
など、行動科学的な視点を取り入れた取り組みが多く紹介されていました。
また、
・喫煙室を運動スペースへ転換
・オフィス内運動支援
など、「環境そのものを変える」取り組みも非常に興味深い内容でした。
外国人労働者支援も今後の重要課題
外国人労働者に関するポスター発表も非常に印象的でした。
特に、
・健康診断後フォロー
・帰国後支援
・医療アクセス
・言語や文化の違い
などは、今後多くの事業所で避けて通れないテーマになると感じました。
製造業では外国人労働者の比率も増加しており、「在職中だけではない健康支援」の重要性が高まっています。
今後は、従来以上に多様な背景を持つ労働者への対応が求められる時代になっていくと感じました。
学会に参加して感じたこと
今回の学会を通じて感じたのは、
「産業保健は実務の時代に入っている」
ということです。
単に制度を知るだけではなく、
・現場でどう運用するか
・管理職へどう伝えるか
・行動変容につなげるか
・中小企業でどう実践するか
・継続できる仕組みにするか
など、「実際に企業現場で回るか」が非常に重要になっていると感じました。
また、講演だけでなく、展示ブースやポスター発表を通じて、多くの実務家の方々と交流できたことも非常に有意義でした。
現場課題や実践例について直接情報交換できたことは、今後の産業医活動にも大きく活かせると感じています。
まとめ
第99回日本産業衛生学会では、
・ストレスチェック義務化
・化学物質管理
・職場巡視
・熱中症対策
・健康経営
・産業保健DX
・外国人労働者支援
など、今後の産業保健を考えるうえで重要なテーマを数多く学ぶことができました。
産業医・労働衛生コンサルタントとして、制度対応だけでなく、「現場で本当に役立つ支援」を今後も大切にしていきたいと思います。
株式会社吉川労働衛生コンサルタント産業医三重事務所では、製造業を中心に、現場実務を重視した産業保健支援を行っております。
衛生委員会、職場巡視、メンタルヘルス、ストレスチェック、化学物質管理、健康経営などでお困りの際は、お気軽にご相談ください。

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